鎧と自信
とあるきっかけで、ふと6年前のことを思い出しました。
それは、私が私自身を信じようと決めた瞬間のこと。
何があっても、すべてを失くしても、私だけは私のそばにいようと決めた瞬間。
今思えば、あれが私の本当の転機だったように思う。
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高校卒業後は都会に出たくて、東京の専門学校に入学した。就職も東京。
都会での暮らしは最高に楽しく、仕事も楽しかったけど、
でも、結婚は二度失敗に終わった(笑)
田舎に帰るつもりはなかったけど、二度目の離婚の後にとった夏休みでの経験が、
私を田舎に帰らせる決心をさせた。
私の中にある、どうしようもない孤独、不安、恐怖、
これを埋めるものは都会には沢山あった。
物も溢れ、人も溢れ、そして無機質な新陳代謝と無関心。
当時はそれが心地よかったし、私の心の中の空白を埋めるにはちょうどよかった。
そして私は買い物依存になり、SEX依存になった。
いい服を着たりいいバッグを持ったり、綺麗に着飾るほど言い寄ってくる男性は沢山いた。
仕事も頑張ってそれなりのポジションを獲得し、そうやって私はどんどん自分の外側に鎧を作っていった。自分の穴が、空白が見えないように。孤独も不安も恐怖も感じないように。
ただ、どんなに綺麗に着飾ろうが、チヤホヤされようが、沢山の男に抱かれようが、
私の中の空白はブラックホールのようにどんどん膨らみ、孤独も不安も恐怖も消えず、
だからさらに求めて集めて埋めようとして、泥沼にはまっていった。
そして結婚生活も破綻した。
心のことを深く追求するような当時の職場(カイロプラクティックの治療室)では、
その渦中の時は、同僚達や院長ともよくその辺のことを話していた。
二度目の離婚の前も、何かどうしようもない大きな流れが来ているようだし、
抵抗せずにそれに流されてみるのもいいのかも、ということになり、
覚悟を決めたらあっさりと離婚することになった。
それでも、心のダメージはかなりのものだった。
それを癒すためにも長めの夏休みを取り、結局は予定の二週間を大幅にオーバーした一か月を過ごし、色んな経験の中で自分と向き合った結果、都会を離れ、田舎に戻ってきました。
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田舎に戻ってきてからも紆余曲折ありましたが、
今の旦那さんと出会って、付き合うようになってから数か月過ぎたころ、それは起こりました。その日はくしくも彼の誕生日でした。
その日お金をおろそうとしたら、残高不足でおろせませんでした。
確か10万は口座にあったはずなのに・・・
変だなぁと思っていたら、一通の封書が届きました。
以前住んでいた千葉県の役所からでした。
内容は、住民税の未払いによる口座凍結の通達でした。
いわゆる、差し押さえってやつです。
さすがに手が震えました。本当にこんなことが実際に起こるんだと思いました。
未払いだったのは自覚ありました。督促もずっと来ていたし、警告も受けていました。
でも、どこかでさすがに差し押さえなんてのは現実にはあり得ないだろうと高を括ってました。映画やドラマの中での話だろうと。
当時の私は、買い物依存のカードローンが100万近くに膨れ上がっていました。
田舎に戻って就職した会社の給料は、都会にいた頃より10万近く低くなり、
給料の約半分が支払いで消えていきました。その他に携帯代、ガソリン代、食費等で、
毎月手元に残るお金なんてほぼありませんでした。
その状態で、滞納している12万弱の住民税をすぐに払わないといけないなんて、不可能でした。でも払わなければ口座は凍結のまま。カードの引き落とし日も迫ってくるし、
親にも姉たちにも恥ずかしくてこんなこと言えず、ただただこの先どうなるのか不安で震えていました。
そしてその時、彼(旦那)に助けを求めようと決心しました。
過去2人の元旦那達や自分の親姉妹に対しては、やっぱりずっと鎧をつけたまま接していた部分があり、自分の情けないところや出来ない部分などを見せないように生きてきました。
それを見せたら、知られてしまったら、愛されないと思い込んでいました。
だからずっと無理して格好つけて突っ張って、それが色んな事が破たんした一因でもありました。
でも、もう格好つけてる場合じゃない。私が好きになったこの人は、きっと助けてくれる。
思い切って話してみよう。助けを求めてみよう。
格好つけて何もなかったかのように振る舞って、裏で帳尻合わせるように動く人生なんて、もうやめよう。それが元で色んな事が破たんしてきたんじゃん。
もうそんな風に生きたくない。そんな生き方ツラい。それじゃ帰ってきた意味がない。
話したところで愛想つかされても仕方ない。100万も借金があって口座が凍結された女なんて、誰がそのまま好きでいてくれるんだ。そんな人稀だ。もしそうなったら親に頭下げて土下座でも何でもして、お金借りよう。
彼の人柄を信じてはいるけど、もし別れることになっても、親に勘当されても、
「その時は私がずっと私のそばにいよう。また0から始めればいいじゃん。」
心からそう思えて、腹をくくりました。
そして恥も外聞も棄て、彼に話しました。
結果、助けてくれて、なんで借金をすることになったのかなども話し、
借金は無事返し終わり、別れることなくその後結婚したんだけど、
あの時の、今までの生き方から決別しようとして振り絞った勇気と行動が、
本当に人生の転機になりました。
何もないただの私、不安も孤独も恐怖も持っている私、
鎧で弱さを隠し続けてきた私、だらしない私、何もできない私、
色んなダメなとこ沢山あるけど、それでも勇気はあるし、行動できた。
ゼロからだろうがマイナスからだろうが、きっと私だけでも私自身を見捨てなければ、
絶対に這い上がれる。なんとかなる。そう信じることができた。信じて行動できた。
それが、一番の自信になりました。
そして、今までガチガチに私を守っていた(と思い込んでいた)鎧を棄て始めることができました。
その後もジムのトレーナーを辞める際などにも色々ありました。
長年の生き方によって自分だと思い込んでいる部分も、実は鎧だったということもありました。どんどん剥がして棄てていくと、自分がかなりちっぽけな存在に思えました。
なんだ、こんなもんかぁって。
それでも、私には行動する勇気と力がある。
その自信が、今の私の元になっているような気がします。
何か問題が起こっても、あの時のことを思い出すと落ち着きます。
そして、私が私のそばにいる限り、何があっても大丈夫だと思えます。
一度心の底に湧いた自信の泉は、枯れることはないと思います。
もし失くしてしまう自信なら、それは鎧の部分に対しての自信なんだと。
私も知らず知らずのうちに、まだ鎧をつけていることもあります。
それに気づく度に、心の底に潜ってその自信の泉に触れ、鎧を外す。
それを繰り返していくことで、一日一日、一歩一歩、少しでも人として成長していきたいと思っています。
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